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銀行に、そして結局はゼネコンに税金が投入される

2000710

宇佐美 保

1.)銀行商売に就いて

 私達は、銀行の利息商売に対して勘違いをしていませんか?

例えば、銀行が、金利0.1%で私達から借り受けたお金を、企業などに金利3.1%で貸し付けて商売していると、“我々の商売だったら、仕入れ価格に対して売値は10%以上がざらなのに、銀行商売では貸し借りの金利差が3%しかないのだから、銀行も大変だなあ!”と思ってはいませんか?

 斯く言う私も、そのように感じていました。

 

ところが、(もう1年も経ってしまったかもしれませんが、)或るテレビ番組で普段はテレビでお見受けしない方が、次の様に語っておられました。

  例えば、銀行が100万円を金利0.1%で借り受け、3.1%で貸し付ければ、

その差額

3.1%-0.1%=3%

  そして、大銀行とあろうところが、その間にたったの3%しか儲けられないのか?と思われる方が大多数と思いますが、これは、とんでもない誤解なのです。

    パーセンテージ(%)だけに誤魔化されてはいけないのです。

     100万円と言うと一般人は札束を思い浮かべますが、銀行にとっては、札束でなく商品なのです。(電気製品、骨董品の壷、古文書などとも同じなのです)

    そこで、例えば

100万円=(百万円の札束の模様形をした)古文書

    と考えてみたら、よく判ります。

     即ち、100万円を金利0.1%(100×0.1%=1千円)で借り受け、金利3.1%(100万円×3.1%=3万1千円)で貸し付けることは、

     あたかも、古文書を千円で仕入れて、3万1千円で売ると同じようなものなのです。

即ち、千円で仕入れたものを、3万1千円で売るのですから、30倍の儲けとなるのです。

 

こんなボロイ商売はあるのでしょうか?

 こんなボロイ商売(土地と言う全く安全な担保を取って)をして高給を取っている銀行に対して、ひとたび土地神話が崩壊すると、銀行幹部は責任も全く取らせずに、国民の税金を銀行に注ぎ込むのは全く納得が出来ません。

この点をもっとテレビでアッピールして貰いたいのですが、その後はこのような話をテレビで話される方は居られません。

 

 更に、可笑しいのは、公的資金を投入する際、“銀行は、社会の血管のような役割を果たしているので公的資金を投入して何としても銀行を救わなければならない。”“投入の条件として、銀行幹部にその責任を取らせる事を条件にすると、誰しも自分の身が可愛いので、どこの銀行も手を上げなくなってしまうので、幹部責任を不問にして、公的資金を投入する”との政府見解には呆れ果ててしまいます。

公的資金を銀行に投入する側の大義名分は「社会の為」なのに、受け取る銀行側は「自分の身の保身が第一」というのは可笑しくはありませんか?

こんな「保身第一の幹部」が、銀行の建て直しが出来るのでしょうか?

中小企業への貸し渋りや、悪徳高金利金融への貸し出しを行わない社会の血管として機能する銀行への転換が出来るのでしょうか?

とても疑問です。

 

2.)銀行の自己資本保有率について

 随分前に『朝までテレビ』で、大田区の溝口方面のの中小企業の社長さんが、“銀行の中小企業への貸し渋りを無くすには、「銀行の自己資本保有率」の算出方法の見直しが重要である。即ち、アメリカ国債を銀行が幾ら購入しても、その金額が「銀行の自己資本保有率」の分母に入らない現状では、銀行は、中小企業に貸し付けずに、アメリカ国債を購入し続けるでしょう。何故なら、「銀行の自己資本保有率」を低下する事無く、高利率のアメリカ国際でぼろ儲けが出来るのですから。”と発言されました。

この社長さんの発言にその場で反応されたのは、国際金融ジャーナリストの水野氏だけでした。(何故、最近はテレビに水野氏が出ないのでしょうか?)

 本当に、銀行はぼろ儲けですよね。

 

3.)“銀行は、0金利と言うことで、私達からお金を奪い取っている” との観念が、マスコミの扱いには欠如しています。

全国民で合計1500兆円の銀行預金があったら、3%から0%にダウンしたら、

1500×3%=30兆円

を全国民から奪い取っているのです。

不良債権処理との名目で、政府は国民の税金を銀行に投入しましたが、そのお金は具体的にはどのように使われたのでしょうか?

結局は、建設族の思惑で大手建設会社の救済に使われているのでしょうか?

(百貨店「そごう」の銀行への債権破棄の要求の記事を見るとこの点がとても心配になりました。

新聞週刊誌を賑わせていた、演歌歌手の「千昌夫」の債権はどうなったのでしょうか?)

 

4.)マスコミは銀行を非難しない。

 元大新聞の上の方まで行った友人に、“マスコミは何故もっと銀行を厳しく論調しないのか!”と文句を云ったら、“宇佐美、それは無理だよ、どこのマスコミも銀行資金が大量に入っているのだから。”と云われてしまいました。

 

5月28日の「サンデープロジェクト」では、田原氏は、日本の膨大な赤字国債の解消に対する有効な方策を打ち出せないでいる民社党の議員達を盛んに叱責されていました。

しかし、恐ろしい顔付きの野中、森氏達は、それをどう処理するのでしょうか?

円の切り下げやらで、インフレを誘発して一挙に赤字を無くそうという積もりなのでしょうか?(戦時下の膨大な赤字が消滅した如くに。)

しかし、その際は、負担だけを国民に押し付けて、恐ろしい顔付きの方々は、自分達の隠し財産を一足先に安全な所に避難しておくのでしょうが。

(故金丸氏のように金塊を金庫に隠して置く手段は、彼らはもう取らないでしょうが。)

 どんなに政策が同じであろうと、又、同じように地域利益誘導体質な議員達であろうと、今の長年にわたっての利権体系を確立してしまった自民党支配体系では、各所が錆び付いてしまっていて、どんな不正が行われても「人の噂も75日」で、悪い事をやった者の勝ち。

これでは、世の中良くはなりません。

 

 それから、マスコミは、余りに若者のご機嫌取りをやり過ぎと思います。

これは、現在の日本の購買層が若者に偏っており、テレビのCM、そして視聴率欲しさのテレビ番組が余りにも若者のご機嫌ばかり立っているからでしょう。

(そして、この風潮を是認している経済界にも問題はあるのでしょうが。)

 こんな事では、若者達は、今の大人達(政治家も含めて)を尊敬する気持ちにはならないでしょう、大人達を馬鹿にします。

 

 銀行幹部、政治家、相次ぐ警察のていたらく、こんな大人を若者達は手本にしなければならないのでしょうか?

警察のていたらくには、「例の公安委員のていたらく」も絡んでいると思っていますが、彼らはその後どうされたのでしょうか?

潔く辞職されたのでしょうか?

銀行幹部といい、公安委員といい全ての大人たちは潔さに欠けているのではないでしょうか?

日頃高給を取っているのですから、いったん不始末があったら直ちに責任を取る潔さが必要なのではないでしょうか?

 

5.)そごう問題

金融再生委員会は「国(預金保険機構)が、新生銀行の大手百貨店そごうグループへの債権約2000億円を買取り、そのうちの約970億円を放棄する。」と決定した事態にビックリし、“自民党の野中氏自身も怒っている。”等とマスコミは報じていますが、自民党の幹部たちは、本当に今回の金融再生委員会の決定を怒っているのか?と私は疑います。

 

マスコミは、国が970億円を、更に、そごうが再建されなかったら、残りの約1000億円までも国民が負担しなければならない、と怒っていますが、私はそんなことよりも、取引金融機関の放棄総額が約6300億円になることに怒りを感じます。

 

この取引金融機関が負担する約6300億円の資金のそもそもは誰の金だったのですか?

明らかにその金は、「国の経済の血管を救う為!との号令で、銀行に注ぎ込んだ10兆円程の我々の税金(公的資金)」ではないですか!

我々の税金である6300億円を銀行等の決定で勝手に放棄してよいのですか?

 

 又、マスコミは「このそごうの件が前例となって熊谷組ハザマ等の大手ゼネコンの救済にまでも今回同様な金の使われ方をする事になりかねない。」と論評していますが、野中氏をはじめ自民党の幹部達はそんな事はとっくに折込済みではないでしょうか?

 

 そもそも彼等が「銀行を救う」との名目の金は、最初から「ゼネコンを救う!!!」との大目標の為に強引に銀行に押し込んだのではないでしょうか?

「ゼネコンを救う!!!」との題目では、国民が納得しないのは明らかなので、「国の経済の血管である銀行の救済」または、「中小企業への銀行から融資を円滑にする」とかの偽りの名目で銀行へ公的資金を投入したのでは?

 

 そして、前もってはっきりと「ゼネコンの救済用の金」と因果を含めてあったので、銀行は当初公的資金の導入に消極的であったのではないでしょうか?

(自民党議員にとっては、実は銀行が潰れる事は問題でないのでしょう。彼等は「選挙に勝つには銀行よりもゼネコンの方がずっと頼りになる」と判断しているのでしょうから。)

 

 何故、マスコミは、「国(預金保険機構)が約970億円を放棄する。」事だけを問題にして、他の取引金融機関の債権放棄を問題にしないのか?大変不思議に思います。

“国民は、「債権放棄では、どうせ銀行達が損するだけさ銀行の奴ざまを見ろ!」と思うが関の山。”と(又、マスコミも)考えているのでしょうか?

 それとも、やはり、マスコミも「所詮は銀行(或いは野中氏たち)の操り人形?」

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